大後悔見本市

~きっと今日も黒歴史~

【短編小説】終わり始まり

いつからだろう。

自分は大丈夫だと思っていた。

 

父や祖父の様にはならない。

それだけの用意はしてきた。

そう思っていた。

 

それなのになぜだ。

自分で自分を責め始める。

 

もしかすると、その安心感こそがこの綻びを生んでしまったのかもしれない。

 

過去に飛べるなら、18歳くらいの自分に会いに行き、今の姿を見せ、真実を語り、未来で緩やかに終末が始まっている事を伝えなくてはならない。

 

ドラゴンボールで過去から来たトランクスが、セルの侵略を防ぎ、未来を変えたのと同じように自分の手で未来を変えるしかないのだ。

 

それほどまでに静かに終わりは始まったのだ。

 

2017年。

それは侵略というにはあまりに遅く、進撃というほど唐突ではなく、緩やかに始まった。

 

そうまさに「侵食」であった。

徐々に蝕まれていったのだ。

 

予兆はあった。

故にできるだけの対策は取ってきた。

 

それでも効果はなかった。

いや、あったのかもしれない。

しかし、それ以上にヤツらの手腕が上だったのだ。

 

自分だけではない、今まで多くの人がこの事に気づき、抗ってきた。それでも勝てなかった。

 

それほどまでに、ヤツらは手強いのだ。

 

人類にとって最大の敵とも呼べるヤツらにあえて名前をつけるならば

 

そう....

 

 

「ハゲの遺伝子」

 

そう呼ぶ事にしよう。

 

 

朝起きて、鏡を見て絶望した。

そこにかつての自分はいなかった。

 

久しぶりに鏡を見たわけではない。

毎朝、ヒゲを剃る度に見ている。

 

それでも昨日までこんな感じではなかったはずだ。ちょっと少ないなと思うくらいだった。

 

しかし、今回は違った。

 

前髪はベジータのようにキレイなM字になっており、髪の隙間隙間からは地肌だと思える肌色が見え隠れしている。

 

髪を切ったせいだろうか。

いや、しかし髪を切りに行ったのは3ヶ月も前だ。あの時には短い程度で薄い事は気にならなかった。そういえば、そこから髪型も変わっていない事に気づいた。

 

もともと髪の量は多い方ではなかった。

父親も両親の祖父もハゲていたが、それでも学生時代はロン毛にしていたほどで、こんな事になるとは思っていなかった。

 

どこからこんな事になったのか。

人はなぜハゲる必要があるのか。

 

そんな事を考えるうちに、一つの結論へと達した。

 

毛根強い人を駆逐しよう。

まさにハゲのディストピアの始まりである。